全米日本酒歓評会とは
全米日本酒歓評会は、日本国外で最も長い歴史を持つ日本酒の品評会です。同品評会では2001年の開催当初より、独立行政法人酒類総合研究所の指導を仰ぎながら厳正な審査を実施してきました。審査の際は、酒瓶が一切審査員の目に触れない完全な目隠し方式を導入しています。さらに、グルコース濃度の事前測定、審査員全員が全ての出品酒を評価するなど、数ある日本酒の審査会の中でも、より透明性、公平性が高く、客観的な審査を行うよう努めています。
また、関連イベントとして、一般公開利き酒会、ジョイ・オブ・サケが世界各都市で開催され、歓評会の全出品酒がすべての会場で利き酒用に展示されます。この一般公開イベントと併せて開催されることにより、全米日本酒歓評会は、米国において日本酒人気の向上と活発で持続的な日本酒市場の開拓に大きく寄与してまいりました。
当会の使命
『For the Sake of Sake(日本酒のために)』
日本が誇る素晴らしい伝統のひとつである日本酒、そしてそれを醸す蔵元の高い技術。それらへの理解を世界の人々に深めてもらい、日本酒をより多くの人に愛されるようにしてゆくこと。全米日本酒歓評会の主催団体である国際酒会の上記のスローガンは、この純粋なる使命を端的に物語っています。
歓評会で優良品種の日本酒を厳正に審査すること、また関連イベントとして行われる一般公開利き酒会のジョイ・オブ・サケにて消費者に最高コンディションの出品酒を試飲していただくこと、そしてこの2つを通じて日本酒と日本酒文化への啓蒙を図ることが当会の目的です。
背景
全米日本酒歓評会は、独立行政法人酒類総合研究所により1911年から毎年行われている「全国新酒鑑評会」にならって2001年に始まりました。それは、米国における日本酒流通状況の一つの改革となりました。
1990年代の終わり、日本酒の海外での消費量の拡大が長期トレンドとして見え始めていました。しかし、米国においてはまだ、様々な種類の日本酒があることや日本酒を評価する基準についての知識があまりありませんでした。その結果、1年以上も冷蔵保管がされていなかったために風味が飛んでしまった酒が店頭で売られていたりすることがよくありました。当然ながら、そのような日本酒を飲んだ消費者が、再びそれを買うことはほぼありませんでした。
1987年にホノルルで発足した国際酒会は、この状況を改善するためには、米国に輸入される日本酒への客観的な評価基準の導入が必要であると実感しました。そして、検討の末、同会は独立行政法人酒類総合研究所にコンタクトを取り、米国で可能な審査手順導入の支援を依頼しました。その結果、全国新酒鑑評会の審査票を簡略化したフォームを用い、日本人と外国人からなる審査員で審査を行うことが決定しました。
歴史
第1回全米日本酒歓評会は、2001年9月27日にハワイ州ホノルル市で開催されました。初回は42社の蔵元から集まった126品が審査され、各出品部門で最も高い評価を得た出品酒に金賞と銀賞が与えられました。審査の翌日、すべての出品酒が味わえる利き酒会、ジョイ・オブ・サケを一般消費者に公開し、ハワイ中の著名レストランによるアペタイザーや地元アーティストのエンターテイメントとともにテイスティングを楽しんでもらいました。このイベントには約400名が集まり、売上の8000ドルがその会場となったハワイ日本文化センターの文化プログラムに寄贈されました。
2002年度全米日本酒歓評会の開催後、蔵元、販売代理業者、そして日本酒愛好家などから、引き続きハワイでの審査を行うだけでなく、一般公開利き酒会を米国本土でも開催してはどうか、という提案が多く寄せられました。その声を受け、ジョイ・オブ・サケは2003年に初めてサンフランシスコで、そして2004年にはニューヨークでも開催されるようになりました。また、さらには2010年に東京、2018年にはロンドンと開催地を広げ、グローバルな利き酒イベントへと発展しました。ジョイ・オブ・サケは今年、ニューヨーク、ホノルルでの開催が計画されており、全米日本酒歓評会のすべての出品酒がこの2都市で多くの来場者にテイスティングされる予定です。
ジョイ・オブ・サケが好評を博すことで全米日本酒歓評会の出品酒数も増加し、2023年には578品の出品酒が集まりました。規模が大きくなるにつれ、また消費者の動向にもより、出品酒の多様性も増してきました。全米日本酒歓評会では、その変化に対応すべく審査方法の見直しを毎年行い、少しずつ改善を図ってきました。今後もさらなる改善を重ねながら、高い水準での審査実施を心がけていきます。